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2021/10/10

ほっとひと息 ​​​​​​​『防人の歌』


 
 
 防人の歌は万葉集、巻第二十の中でその交代の時の歌が主です。防人は崎守の意で九州、壱岐、対馬の西辺を防備する兵士です。天智三年(664年)、その前年に百済救援に向かった日本軍が大敗して、長年の半島での実権を失った直後に防備のために置かれた人々です。

「父母が 頭掻き撫で 幸(さ)くあれて いひし言葉(けとば)ぜ 忘れかねつる」
「芦垣の 隈処(くまと)に立ちて我(わ)妹子(ぎもこ)が 袖もしほほに 泣きしそ 思はゆ」 

 出立のとき、郷里の芦の垣根の隅っこで、妻が袖がぐっしょり濡れるほど泣いていた姿を、まざまざと回想しています。また、妻を亡くして幼児をかかえた男が徴集されれば、
「韓(かん)衣(ころむ) 裾に取り付き 泣く子らを 置きて来ぬや 母(おも)なしにして」
家においてきた子どもの泣いていた姿がちらついていてはなれないと歌っています。また、徴集されていく夫を見送る妻は
「防人に 行くは誰(た)が夫(せ)と 問う人を 見るがともしさ 物思ひもせず」
と歌って、“今度防人に行く人はどこの旦那さん”などと、他人ごとの気軽な言葉が身にしみて切なく思われると歌っています。
 どの歌をみても、今から1200年以上も前のこととは思われない、現代にも通じる切実な人間の心情を訴えています。防人の歌には、祈る心や愛が大きく関わっているように思います。
 西洋と東洋、時代は異なりますが、私はソロモン王の祈りにも感動しました。ソロモン王イスラエル王国第三代の王(BC960~922頃在位)で、イスラエルの神殿を建てた王ですが、彼はイスラエルの民のために神に向かって、熱く謙虚に祈っています。
『あなたの民が敵との戦いのために出て行くとき、遣わされる道で、あなたがお選びになった都、私が御名のために宮に向かって主に祈るなら、天で彼らの祈りと願いを聞いて、彼らの言い分を聞き入れてやってください。…捕らわれていった敵国で、心のすべて、魂のすべてをもって、あなたに立ち返り…あなたに祈るなら…』と。
防人の歌は赤裸々な人間の愛情を歌っていますので、ソロモンの祈りとは共通点はないのですが、どちらも心動かされました。
『喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい。』(聖書)
 
 
 

 
 
 

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