何年か前、新聞で「心に残る言葉」が、ランキング形式で紹介されていました。そこで多くのポイントを集めた言葉が印象に残りました。それは「人は、それぞれ事情をかかえ、平然と生きている」という、作家・伊集院静氏の言葉です。人の姿を内と外から端的に表していると感じました。
　また、その際、昔のちょっとした出来事を思い出しました。私が就職して間もない頃、広い会議室で多くの人で長机を片付けていたときのことです。その長机は天板を折り畳んで収納できるもので、私もその長机を、ロックを外して折り畳もうとするのですが、固くて動きません。もっと力を入れたいところですが、壊してしまうのではという不安がよぎります。困っていると、ある人（以下、Ａさん）がその様子を見て声を掛けてくださいました。その時のやり取りです。
Ａさん）「どうしました？」
私）「皆さんと同じようにしているのですが、なぜか固くて・・」
Ａさん）「あ、それ固いんですよ」
私）「え、そうなんですか？皆さん楽々と折り畳んでいるように見えるんですが…」、
Ａさん）「人生ってそんなもんですよ」、
と、最後はユーモアのある言葉で終わりました。
　成功を納めた人を見ると、羨ましく思うことが常ですが、実際は大変な事情や苦労があったことを後で知ることがよくあります。新聞で紹介された言葉、Ａさんからの何気ない言葉は本当で、一人一人のもつ事情や悩みは、他の人が真にわかるものではありません。しかし聖書には、イエス･キリストの父なる神こそがその人を理解し、その人とともに歩み助けてくださるとあります。

『主よ　あなたは私を探り　知っておられます。
　あなたは　私の座るのも立つのも知っておられ
　遠くから私の思いを読み取られます。
　あなたは私が歩くのも伏すのも見守り
　私の道のすべてを知り抜いておられます。』（聖書）
 

 

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