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2022/07/10

ほっとひと息​​『阿倍仲麻呂とヨセフ』



 「天の原 ふりさけみれば 春日なる 御嵩の山に いでし月かも」
 
 これは百人一首でおなじみの阿部仲麻呂の詩です。
彼は716年、遣唐使となって唐に渡っています。遣唐使に選ばれるためにはそれなりの条件が必要でしたが、仲麻呂は入唐後、「科挙」(超難関の官吏採用試験)に及第。その結果、唐の玄宗皇帝に文人官僚として仕えます。李白や王維とも親交があったと言われていて、よほど優秀な人材だったことが窺い知れます。
そのような仲麻呂に、彼の友人は次のような詩を書いて絶賛しています。
 
 「洛陽にいる日本人に贈ります
  万国の使者たちは多くいるけれど … 貴方の凛々しさは 比べるものが無い
  君は今、皇太子様にもお仕えしている 朝廷にも出入りできる身分となって
  洛陽の伊水の河畔をそぞろに歩いている …」
 
 最高位の文筆官の役職にまで昇り詰め、50歳を過ぎた頃、彼は望郷の思いを止めることが出来ず、皇帝に帰国を上申して許可を得ます。ようやく帰国の途につくのですが、不運にも暴風雨に遭い、現在のベトナムに漂着。再び唐に戻り、期せずして玄宗皇帝に仕えることになったのです。こうして仲麻呂は770年、唐で波乱の人生を終えます。
 他国の王に仕え、波乱の人生を送ったという点で想い起こされるのが、旧約聖書に登場するヨセフという人です。
 紀元前1500年頃、ユダヤの国にイスラエルという人がおり、12人の息子がありました。ヨセフは11番目に生まれた息子で、父の偏愛を受けたことにより兄達の妬みを買い、エジプトに売られてしまいます。多くの困難が彼を待ち受けますが、主がヨセフと共におられたので成功を収め、ついに王に仕えてエジプトの地を監督する者にまで引き上げられた物語が記されています。
 常に神を信じ、最後に父や兄弟たちと再会を果たしたヨセフは、自分を売った兄たちを恨まず、むしろ「自分がエジプトに送られたのは神のご計画によるもので、彼の一族を救うために用いられたのだ」と告白しています。
 時代と洋の東西は違っても、同じような運命を辿った二人に思いを馳せながら、21世紀の月を見上げています。
 
 


遣唐使船
 
 
 
 

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