教会近くの我が家から最寄り駅まで徒歩で約10分。高層団地の間を抜ける近道を通ります。団地の中央に花壇があり、近隣の方々の丹精込めた草花がいつもの楽しみです。先日、朝の出勤時に、幼稚園児と思われる女の子が花壇に向かって立っているのが見えました。お母さんらしき方が少し離れた所で、幼子を見つめながら待っているようです。近づくと「さいたぁ～さいたぁ～♪」と、一生懸命の歌声が聞こえてきました。チューリップに向かって覚えたての歌を歌っているのが、なんとも愛らしく、道行く人も笑顔があふれていたようでした。
　その日の帰り道、同じ場所に差しかかると「わぁ！」と、思わず声が出ました。小さな淡い水色のネモフィラが低く咲き乱れている真ん中に、色とりどりのチューリップがすっくと空に向かって伸び、見事に互いが引き立て合う美しい光景でした。朝は女の子に気を取られ、花壇に目が届いてなかったのです。女の子はきっと、朝の日差しに輝く花に「チューリップさん、きれいねー、ありがとう」と思いを込めて、歌わずにおれなかったのでしょう。素直な感動が伝わってきました。
　教会では讃美歌や聖歌（神様をほめたたえる歌）を歌いますが、周りの歌声に消されて自分の声が聞こえないことがあります。教会に通い始めた頃、その力強さに圧倒されたのを覚えています。今はコロナ禍で、教会では大きな声で歌い難い状況ですが、喜びと感動をもって心から神をたたえる姿勢を小さな女の子が、思い出させてくれました。
 
 

『屠(ほふ)られた子羊（イエス･キリスト）は、力と富と知恵と勢いと誉れと栄光と賛美を受けるにふさわしい方です。』
 
 

 
 

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