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2023/05/21

ほっとひと息​​『聖書と絵画』


 
 絵画に興味を持ったきっかけは、従兄でした。彼の油絵は日展に出品するほどに素晴らしいものでした。彼の案内で美術館に行きました。そこは私にとっては別世界でした。絵画なのに、この立体感や躍動感はどうして出せるのだろうかと不思議に思ったものでした。
 その中でも、特にミレーの「落穂ひろい」に興味を持ちました。この時代、落ち穂を拾うのは農民の中でも最も貧しい階層の人々が、命をつなぐ権利として認められていました。ミレーは、フランスのバビルゾン派の代表画家の一人です。ある日ミレーは旧約聖書の「ルツ記」にテーマを発見し「落穂拾い」に取り組んだそうです。
「ルツ記」を、簡単に紹介しますと。
 夫を亡くしたモアブの女ルツは、「自分の故郷へ帰るように」という姑ナオミの勧めにもかかわらず、『あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。』と言って、ナオミと共に、ナオミの出身地ベツレヘムへ行く決心をします。彼女たちがベツレヘムに着いたのは、ちょうど大麦の刈入れが始まったころでした。ルツはナオミに、「畑に行って落ち穂を拾い集めさせてください。」と言います。その畑は、はからずもナオミの夫の有力な親戚ボアズの畑であったのです。神様はルツの真の神への信仰を見られ祝福されました。彼女は後に、ボアズと結婚してキリストの祖先の一人となります。
 ミレーの「落穂ひろい」のように、西洋絵画には聖書がテーマになっている作品が数多くあります。ミレーは、「晩鐘」「羊飼いの少女」などの作品にも農民の姿を美しく崇高に描き、今も作品を見る人々に静かな感動を与えています。

 
 

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