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2024/07/07

ほっとひと息​​『羊と牧羊犬』


  
 今年の春、関東にある大きな牧場で「羊の大行進」と題されたイベントに参加しました。約200匹にも及ぶ羊の群れを、牧羊犬が指定の場所へ導いていく様子を間近で見学できます。
 スタートと同時に、羊の大群が一斉に小屋から草原へと解き放たれました。思い思いの場所で文字通り道草を食いながらマイペースに進んでいく羊たち。少し遅れて登場した牧羊犬は、飼育員の笛の音を聞き分けながら、群れをスムーズに誘導させます。羊たちは、威嚇しながら追いかける牧羊犬に目も合わせようとしません。彼らは俊敏に動く牧羊犬に急かされるように、一匹残らず誘導された場所へと移動しました。なんだか可哀想になるほど従順な羊たち。
 考えてみると、羊200匹に対して牧羊犬はたったの一匹。体も大人の羊の方が大きいのです。数とサイズで勝負すればどうにかなりそうにも思えますが、羊たちは皆一様に牧羊犬の前では平身低頭。彼らは大切な家畜ですから、牧羊犬も噛みついたりはしないでしょう。少し時間が経てば、「この犬は吠えるだけで噛まない」と学習しても良さそうですが、羊はいつまで経っても一切逆らうことなく牧羊犬と生活を共にしているようでした。彼らは己の無力さや弱さをよく理解しているのかもしれません。
 旧約聖書の詩篇には、自分自身を羊に例えた詩がたくさん書かれています。『私たちは主のもの 主の民 その牧場(まきば)の羊』(聖書)私は羊のように奢ることなく、素直な心で従順に創造主なる神様の声に聞き従う者となっているか ── 羊の優しい瞳を見ながら、そう思わされた一日でした。  


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