『わたしが与える水を飲む人は、いつまでも決して渇くことがありません。』
これは、井戸に水を汲みに来ていた女にイエス・キリストが言われたことばです。
女は答えました。『私が渇くことのないように、ここに汲みに来なくてもよいように、その水を私に下さい。』
　蛇口をひねれば安心して飲むことのできる水が出てくる現代の日本では忘れてしまいがちですが、飲用に適した水をいかにして確保するのかというのは人間が生きていく上で非常に重要な課題です。水を飲んで渇きが満たされてもまたしばらくすると喉が渇いてきます。だからといって井戸から一度に大量の水を汲んで保存しておくこともできません。一度井戸から汲み上げた水は、放置しているとその中に含まれた雑菌などの不純物が繁殖して腐ってしまうのです。いくら飲んでもいつかは渇いてしまう体、放っておくと腐ってしまう水、そのようなイメージを持っていた彼女にとってイエスのことばは不思議なメッセージだったでしょう。
　イエスは彼女に言いました。『わたしが与える水は、その人の内で泉となり、永遠のいのちへの水が湧き出ます。』実は彼女は5回も結婚を繰り返した末、今はまたそれらの相手とは違う男と一緒に住んでいる身持ちの悪い女でした。そんな彼女の中にイエスが見たのは、心の渇きでした。一時的には満たされたように感じたとしてもまた渇いてしまう人の心、それを見て、イエスは彼女に話しかけられたのです。
　今年も暑い夏がやってきました。体のための水分補給はもちろんのこと、心の水分補給についても考えてみませんか。  

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