以前働いていた職場には、一本の長い廊下がありました。近くには川が流れていて、窓を開けると川からの強い風が廊下を吹き抜けました。その風に乗って、どこからともなくほこりが舞い込みます。少し掃除を怠ると、あっという間に床にたまってしまうのです。
　年末が近づくと、家の大掃除をするご家庭も多いことでしょう。普段は手をつけない場所を整理してみると、一体どこから集まったのかと思うほど、ほこりがたまっていることに驚かされます。ほこりは目に見えない小さなくずが少しずつたまり、やがて目に見える形となります。掃除は面倒ですが、やらずに済ませることはできません。私たちの生活は、ほこりや汚れと無縁ではいられないのです。
　さて、私たちの心はどうでしょうか。聖書にはこう書かれています。『人の心は何よりもねじ曲がっている。それは癒やしがたい。だれが、それを知り尽くすことができるだろうか。』
　あるとき、イエス・キリストのもとに姦淫を犯した女性が連れてこられました。当時の律法では、そうした罪を犯した者は石で打ち殺さなければなりませんでした。『あなたは何と言われますか。』と人々から問われたイエスは、こう答えました。『あなたがたの中で罪のない者が、まずこの人に石を投げなさい。』すると、年長者から順に一人また一人と立ち去り、誰も女性に石を投げることはできませんでした。女性のもとから立ち去っていく彼らの心のうちには、長い年月をかけて自分の心に積り積もった罪の自覚があったのでしょう。
　聖書にはこうあります。『キリスト・イエスは罪人を救うために世に来られた』と。私たちも、心の汚れをキリストに清めていただく必要はないでしょうか。日々の生活で目に見えるほこりを掃くように、私たちには心の大掃除も必要です。